† ピ ア ノ † 【2】



朝8時。
繰り返し繰り返し流れつづけるビデオの音声でついソファの上でうたた寝をしていたケイが目を覚ました。
『赤』はサツキの眠るベッドルームにいるようだ。
声が聞こえる。『赤』の声だ。しかしサツキの声はしない。
ケイは部屋の中を横目で覗き込もうとしたが厚い遮光カーテンがかかる部屋は暗く目を覚ましたばかりのケイにははっきりと確かめる事が出来なかったが『赤』は確かにサツキに何かを語りかけていた。

ケイが目を覚ましたことを知り『赤』は何も無かったような顔をしてリビングに戻った。
今日までの予約なんだよ、この部屋、『赤』はそう言って横目で腕時計を見た。
「8時か・・・。他の奴ら、遅いな。8時には此処に集まれって言っておいたのに」
『赤』はこれからサツキを外に連れ出すという。
夜この部屋を『赤』が訪れたときでさえ既に何処から知ったのか、このホテルの下の道路に座り込んでkkkのメンバーを一目見ようと待ち構えていたという。
もし奴らにサツキがこんなに調子が悪いだなんて事が知れたら、オオゴトだろう?
『赤』は不安げなケイの顔を見て少しだけ笑ってそれから黙り込んでしまった。

他のメンバーへどうにか連絡がついたのは、それから一、二時間過ぎてからの事だった。
「遅いんだよ!何時だと思ってるんだよ!はぁ!?来れない!?ったく、冗談だろ?」
『赤』は常に高いトーンの声で電話の向こうのメンバーに向かって罵声を吐いた。
「・・・まったく、あいつら何やってんだ」
他のメンバー三人からの電話連絡が全て終わった後に溜息交じりで『赤』は呟いた。
「奴ら三人は飲んだくれて俺の電話で今起きたんだとさ。勿論車に乗れるような状態じゃない、ってさ」
「・・・・仕方ないですよ・・・折角ライブが終わって、久しぶりのオフで」
ケイさん、あいつらをそんなに庇わなくてもいいよ、『赤』は苛立ちを隠すことが出来ずにリビングをウロウロする。
「とりあえず今日中には此処から出なくちゃいけないからなぁ・・・どうしようか、俺の車にサツキをとりあえず乗せて、しっかり治るまで休んでもらわないといけないから」
もう少ししたらサツキを起こしてくれる?『赤』はそう言って車の鍵を手にしてホテルの周りを確認しに部屋の外に出ようとした。

「・・・赤」
玄関口に屈み込んでブーツを履いていた『赤』にサツキがベッドルームから声をかけた。
「サツキ・・・!」

ケイはサツキの声を聴いて思わず駆け寄る。サツキは壁に手をついて身体を支えながらもケイと『赤』の傍まで歩み寄りゆっくりと呟いた。
「・・・俺もでかける準備をするよ、俺よりも誰よりも、まずはケイを此処から連れ出さなくちゃ・・・」
サツキは部屋の四隅を横目で確認するとテーブルの上にいつも吸っている銘柄の煙草を見つけそれを手にするとソファにゆったりと腰をおろした。
「・・・俺らよりもケイが先にホテルを出た方がいいんじゃないか?」
サツキはケイの不安げな眼差しに気づかない振りをしてそう言った。目の前に煙がゆらゆら揺れる。
「・・・う、うん・・・そうよね、そうだよね」
ケイは余所余所しくさっきまで延々流れ続けていたビデオを巻き戻してバッグにしまい込むとサツキの顔も見ずに玄関へ向かった。
「あ、ケイさん」
そっけないサツキの態度に『赤』は困惑している。
もう少しサツキが優しい言葉をかけたり、『赤』の目など気にせず抱き合ったりするのだろうと思っていた。
しかしサツキの淡白な台詞。視線はケイの向かう玄関へではなく部屋に立ち込める紫煙の行方を見つめている。
「ケイ、お前はそのまま何も知らない振りをして関係ない顔してそのまま外に出ていてくれ」
サツキはわざと目を合わせないようにしていた。

これ以上ケイに近づくと、多分二度と離したくなくなってしまう。

自制心を精一杯働かせていた。
ケイは何も言わずに頷くと静かにドアを開けて部屋を出た。

部屋に残ったのはサツキと『赤』の二人。二人はそれから別に何の話をするわけでもなくお互い黙ったままソファに向かい合って座っていた。
「ケイは、大丈夫だよ、後で俺らが此処を出たら待ち合わせして車で拾って何処か出かけようぜ」
サツキはまるで他人事のように無表情で呟く。
「いや、それはいいんだけど」
『赤』は此処に来るまでにファンがホテルの下に待っていた事、ファンだけじゃない、雑誌の記者やらマスコミやらそんな連中が周りには確かにいるという事、そして今日のオフが終わった後の殺人的なスケジュールを掻い摘んでサツキに話した。

「解ってるよ、そんな事くらいお前に言われなくたって」
サツキは当たり前だと言わんばかりに『赤』に向かって呟いた。
「じゃあなんでケイさんを先に帰らせたんだよ!見てたのか!?ケイさん凄く寂しそうな顔してたんだぜ!?」
「・・・それじゃあどうしろって言うんだよ、俺ら二人とケイと三人で仲良くお前の車に乗って此処を出ようっていうのか?」
「そんな事言ってないだろ!?ただ」
『赤』は叫びかけて、やめた。
「ただ、なんだよ」
サツキは灰皿に煙草を押し付けながら横目で『赤』を睨み付けた。
「・・・なんでもない、いいよ、解ったよ、ほら、早く此処を出る準備しろよ」
『赤』はそれから何も言わず指先で車のキーをゆらゆら揺らしてサツキが荷物を整えてベッドルームから出てくるのを待っていた。

二人はそれから黙ったまま最上階からホテルのロビーへと続く長いエレベーターに乗っていた。
下へと向かう振動。ロビーへと順に階数を示す頭上のランプが途切れ途切れに灯る。
「アカ」
「・・・・なんだよ」
高速のエレベーターはサツキが発しようとした『赤』への問いを伝える間もないままロビーへと二人を運んだ。
「何言いかけたんだよ、さっき」
チン、と澄んだ音が一つだけしてエレベーターはロビーへ到着した。
やたらと広い磨かれた床、天井がむやみに高いロビーの横にある裏出口へと二人はゆっくりと進む。
「俺が先に車動かしてくるからそれまで此処にいろよ」
『赤』は軽く右手をあげてサツキにそういうと先に裏出口のドアを開け自分の車が置いてある駐車場へと向かった。
此処は限られた人間しか出入り出来ない入り口らしいということは、ドアの内側からサツキが外の景色を眺めて知ることが出来た。辺りにはどうやらファンだとか雑誌の記者だとか、そういう類の連中は見当たらなかった。

アカは何を言いかけたんだろう。

エレベーターの中で『赤』がサツキに言いかけた言葉がふと思い出された。
まだ俺がベッドの中でうとうとしていた時に
確かにすぐ横でアカが何か俺に言っていた。
それは、一体何だったのだろう。

『赤』の車が納められている駐車場は半地下になっていて緩いスロープを半円に下り、全てがひんやりとした空気に包まれている。
ブーツの踵がコンクリートの床と壁に響いて、『赤』一人しか其処にいないはずなのに共鳴した靴音が『赤』を包み込むように伝わってくる。『赤』は車を見つけてキーを差込み乗り込む。
軽くアクセルを踏み込むと先程までは静寂に包まれていた半地下の駐車場も人工的な音で充満する。
突然『赤』の胸ポケットにしまわれていた携帯電話が鳴り響いた。電話の向こうは声を潜めて話すケイだった。
「・・・どうかしたのかい?」
『赤』の声がコンクリートに響き渡る。吹かしているエンジン音でケイの声がさらに遠くに聞こえる。
『あ、あの、私まだホテル出られなくて・・・』
「何だって?」
『普通に出ようとしたら、出入り口が凄い人だかりで・・・それで・・・ガードマンみたいな人に、此処を出るのも止められちゃって・・・』
「・・・ケイさん今何処にいるの?」
『一階のロビーの横にある電話ボックスのコーナーに・・・』
「・・・ううんと・・・・どうしようか・・・俺は今駐車場から車を出そうとしてたんだよ、で、裏口からサツキ乗っけて」
『裏口なんてあるんですか?』
「ああ、そうか気づきにくい場所だもんな、エレベーターから降りてすぐ曲がったところだよ、細い廊下の端に裏出口があるから、そこでサツキも俺の車待ってるよ。大丈夫そうかい?これそう?」
『ええ・・・あ、あ、ちょっと待って下さい・・・!表の入り口から、人が、無理やり・・・!』
電話の向こうのケイの話によるとどうやら数人のファンの女がガードの人間を押しのけてロビー内に入り込んだらしい。入り口では押し問答が続いているようだ。
「じゃあ、俺はすぐにサツキを車に乗せるから、ケイさんは裏出口から外にでなよ」
『はい、わかりました』
「本当は一緒に乗せられたら、いいんだけどな」
『そんな風に、言わないで下さい、私は大丈夫ですから』
「じゃ、これからサツキにすぐ電話して、車に乗せるから車走り出したらすぐに電話するから待ち合わせよう」
『はい、待ってます』
「じゃ、ケイさんも気をつけて・・・また後で」

『赤』はひとまず携帯電話をポケットに仕舞い車のハンドルをゆっくりと回した。エンジンの音が駐車場に響く。がたんと少しの振動を感じ、そして外の朝陽をウインドーに浴びて外に出たことに気づく。
丁度裏出口と半地下になっている駐車場の入り口は隣り合わせの状態で多分地下駐車場からこのホテルの地階へと通路が繋がっているのだろう。このホテルから出ようと考えたときその通路のことも考えていなかったわけでもないが、結局は料理の材料を運び入れたりリネン類を運び込む業務用の出入り口だということでサツキ達が其処から抜け出すのは困難だった。

「なんだよ、裏出口も、見つけられたっていうのか・・・?」
サングラスの奥から窓の外を見る。裏出口のドアの内側にはまだ連中は押し寄せてないように見えた。
「サツキ!?」
『赤』は窓を半分ほど開けてサツキに声をかけた。サツキは裏出口の柱の影に隠れるようにして『赤』の車が来るのを待っていたがドアの向こうにファンや取材の記者が集まってくるのをみて少し焦りの表情を浮かべる。

ケイは裏出口に徐々に押し寄せる人の流れをまだ電話ボックスコーナーの陰から覗いていた。『赤』との電話を切った後どうしても裏出口に近寄ることが出来ずに人の流れを見ていた。叫び声が聞こえる。裏出口は鍵がかかっていて集まった人々は其処で足止めを食らってしまった。誰もがサツキの名前を呼んでいる。ヒステリックは叫び声が何度も何度もロビーに響いている。

”ここ鍵かかってる!”
”ああ!サツキがドアの向こうにいるのにぃ!”
”サツキ!サツキ!”

ドンドンと硝子を叩く鈍い音が何度も響いてくる。どうやらファンは裏出口の硝子戸の向こうのサツキに呼びかけているようだ。『赤』は駐車場からゆっくりと裏出口に車をつけて柱の陰に身を潜めていたサツキに軽く手を上げて合図した。

”サツキ!行かないで!”
”誰か此処のドアを壊しなよ!”
”サツキ!『赤』!”

誰かがそう叫ぶたびに周囲の人間にも興奮が移っていく様だ。裏出口は異常なほど大きな叫び声に包まれ同時に硝子戸を叩く音も大きくなっていく。ケイはやはり近づくことが出来ずに少し離れたところからその様子を眺めていたが、ガシャンと厚い硝子が割れる音が響いて、一瞬辺りは静まり返った。

「いや!サツキ!何処にも行かないで!!!」

一瞬静まり返ったロビーに女の声が響く。叫び声が泣き声に変わって騒々しさが周囲の人間へとさらに広がっていく。
「サツキ!御願い!何処にも行かないで!!!」

髪を振り乱した一人の女が割れた裏出口の硝子戸の隙間から柱の影から騒動を見ていたサツキへと駆け寄っていった。丁度『赤』の車がサツキの後ろから静かに昇ってきたところで運転席に座る『赤』からはサツキの真後ろから物凄い勢いで駆け寄る一人のファンの女の姿がよく見えた。
「サツキ!危ない、後ろ・・・!」
『赤』のその声とほぼ同時に女は細く尖った硝子の破片をしっかりと握り締めてサツキの背後に回った。

「・・・サツキ、お願い、一緒に死んで!!!」
ケイは人込みの隙間から外の様子を見ていた。勿論完全にサツキや『赤』の姿が此処から見えたわけではないが、ロビーに反響する狂乱したファンの声や硝子が割れる音を聞いて不安になり思わず裏出口に群がる人の後ろから外を垣間見た。

「危ない!サツキ!」
『赤』は異様な眼差しのその女の手に鋭い硝子の破片が握られているのを見て駆け寄ろうとした。
「・・・サツキを殺して、私のモノにするの・・・私もサツキと一緒に死ぬわ!」
「・・・サツキ!!!」

『赤』の、サツキを呼ぶ声が一度だけして、それからはまた辺りは不思議と静まり返った。時間が止まっているようにさえ思えた。
しかし直後に裏出口に群がる人々の間から狂ったような叫び声が広がり始めた。
「サツキ!」

割れたドアの向こうで何かが起きた。ケイはもっと近くに、サツキの近くに寄りたかったが出来るはずも無かった。
サツキは脇腹辺りを押さえながら蹲っている。

「・・・サツキ・・・!しっかりしろ、サツキ!サツキ!」
『赤』は車から飛び降りてサツキの身体を支えた。すぐ横には半狂乱になった女が手首に硝子の破片を当てて切り刻む勇気を出せずにただぶるぶると震えている。裏出口にまで押し寄せていた人はもっと近くに寄ろうと割れたドアの隙間から外に出ようともがいていた。

”サツキ!サツキ!死なないで!!!”
”何なの!?あの女!!”
”サツキが死んじゃう!!!”

ドアの割れ目を乗り越えてサツキの近くに駆け寄ろうとする人達。人の密度が少しだけ緩和されたその隙間からサツキの姿を見てケイは危うく叫び声をあげそうになった。
サツキが、蹲っている。
辛うじて『赤』に身体を支えられながらも蹲り、脇腹を押さえる細い指の隙間から赤い血が流れ出ているのが此処からでも見えた。
誰かが、サツキを・・・?

メンバーの言葉がよぎる。身体を壊しているということ、過労気味で疲れきっているサツキの身体。ただでさえ、いつ何が起こっても不思議ではないと、そういう風に彼らは言っていた。その、サツキが血を流して蹲っている。

蹲るサツキを抱きかかえようとしゃがみ込んだ『赤』のすぐ傍までファンが駆け寄った。
「・・・お前ら!近寄るな!来るな・・・!」
サツキは脇腹を強く押さえながら粗い息のまま『赤』の肩にもたれ掛かる。青白い顔で『赤』の肩に寄りかかりながら、サツキは一瞬硝子戸の内側のケイの顔を見た。
「・・・・・ケ・・・イ・・・・」

サツキの声はファンの声に掻き消され、勿論ケイまで届くはずも無かった。
「・・・大丈夫・・・!サツキは大丈夫だから・・・だから・・・・!」
『赤』は人込みの後ろに見え隠れするケイ目掛けて叫んだ。サツキを片腕でしっかりと支えながら、その状況でも彼らの周りに集おうとする人込みをもう片方の腕で払いながらようやくの思いで助手席のドアを開けた。

このままサツキはどうなるのだろう。

辺りの騒々しさは一気に収まり、今は泣き崩れる熱狂的ファンが数人固まってうな垂れている。サツキに硝子の先端を突き刺した女はいまだ手首を切る勇気すら湧かず惨めに震えながら蹲っている。余りに惨めな光景だった。ファンの子らは口々に硝子を握り締め蹲る女に罵声を浴びせ、お前なんて死んでしまえ、さっさと此処で手首切って死ねなんて事を軽々しく口にしている。
ケイはなるべく目立たぬようにロビーの陰にある電話ボックスのコーナーの壁に再び寄りかかり、別に何を考えるわけでもなくぼんやりとしていた。

サツキが血を流して蹲っていた。

非現実的すぎる情景。
血を流し蹲るサツキが朝焼けに照らされ余りに残酷で美しいと思ってしまった、それは多分ケイだけが思い描いたイメージではないだろう。その場にいた人間全てがゆっくりとスローモーションのように崩れ落ちるサツキの横顔を眺めて、確かに綺麗だと、美しいと感じた。
しかし、それは夢の中の話ではない。ケイの目の前で起こった、現実の出来事なのだ。

『赤』から慌しい連絡が一つ入ったのはそれから数時間経った後だった。ケイはどうにかそのホテルのロビーを抜け出して、いつも昼過ぎに立ち寄る喫茶店でぼんやりと外を歩く人達を眺めていた時だった。テーブルの上に置いておいた携帯が一定の回数で震えている。発信元は『赤』の”A”という文字。ケイは声を潜めて通話ボタンを押す。

『あ、ケイさん?今サツキの部屋に着いたよ』
「・・・・・・・・・。」
『・・・・あ、そうか・・・・ケイさん、サツキの部屋、知らないのか?』
「・・・・あ、はい・・・」
『解ったよ、じゃ、これから少ししたら迎えに行くから、ねえ、今何処にいるの?』
ケイは大まかに今いる喫茶店の場所を伝えて『赤』がすぐ傍まで来たら再び連絡を取り合える様に都合をつけて電話を置いた。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
真昼近い陽射し。
ウィンドーに太陽の光が反射して危うくケイは『赤』の車を見過ごしてしまうほどだった。
握り締めた携帯電話が音も無く震える。『A』という文字の点滅。
目を細めながら対向車線に視線を泳がせると昼下がりの街には不釣合いなスポーツカーが止まっている。ケイは車の流れを避けながら車に駆け寄って静かにそのドアを開けた。
「アイツの事なら、心配ないよ、すぐ行こう」
『赤』はアクセルを踏み込んで点滅している信号を突き抜けた。

「まさかこんなことになるなんてな」
陽射しを避けるために深い色のサングラスをかけるアカの表情はケイには解らない。その口調から、恐らく沈んだ目をしているだろう事だけは汲み取ることができた。
「大丈夫だよ、ケイさん、そんな顔するなよ」
助手席に座ってからケイは一言も口を開かなかった。
サツキは大丈夫なの?
傷は深いの?
血は止まった?
意識は?身体は?
聞きたいことが山ほどある。一度口を開くと多分止まらなくなる。そんな顔、といった、多分『赤』も他のメンバーも同じ気持ちだろう。

「着いたよ」
赤は車が揺れないように静かにブレーキを踏んだ。サイドミラーとルームミラーで何度も周囲を確認しながら音を立てないようにドアを開ける。この辺最近うざったい人間がウロウロしてるんだよ、アカはそういいながら助手席のロックを外してケイの手を引いた。



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